台湾の科技部(Ministry of Science and Technology)は10月13日、同機関が推進する「農業生産へのスマート技術応用(Applications of Smart Technology to Agricultural Production)」プロジェクトの下で、国立台湾大学(NTU)の研究チームが、養豚場の臭い・廃水対策やブタの健康管理にスマート技術を活用し、環境と動物に優しい畜産システムを開発していると発表した。この研究に関する論文は学術誌Waterに掲載された。
土地や水資源が限られており、高温多湿で、居住密度が高い台湾では、養豚場は、臭いや廃水に関する住民からの苦情を受けやすい。また、特にこのような気候条件下では、ブタの呼吸器系疾患や消化器系疾患に細心の注意が必要となる。こうした疾患は栄養状態や病原体、豚舎の温度や湿度、空気質等と密接な関係がある。
NTUのシートーン・ディン(Shih-Torng Ding)教授らは、家畜栄養学や微生物学に関する長年の研究に基づき、さまざまなスマート技術を用いてこうした問題の解決に取り組んでいる。具体的には、体内および体外評価システムを用いた精密な栄養管理方法、成長を促進し糞尿の臭いを削減するための微生物製剤、遠隔技術により廃水やバイオガスの処理を自動化する処理施設等を開発している。また、複数のセンサー・画像システムを設置し、ビッグデータ解析を用いて臭いの軽減状況やブタの健康状態を監視している。
科技部は、スマート技術の利用は、農業、漁業、畜産業における技術の改善や変革の鍵になると期待している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部