ワクチン接種でアジア太平洋地域に「3重の課題」 アジア太平洋ハブ公表

アジア太平洋ハブ(Asia-Pacific Hub)のReform for Resilience Commission は10月26日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアジア太平洋地域のレジリエンス(強靭性)に焦点を当て、その鍵となるワクチン接種の現状を分析した報告書を発表した。

同報告書によると、アジア太平洋地域の国々は現在以下の「3重の課題」に直面している。これらの課題は欧州や南北アメリカと比較したワクチン接種の遅れや将来のレジリエンス低下の一因になるとしている。

  1. 1. ワクチンの公平な配分
  2. 2. 確実なワクチン接種を実現するロールアウトプログラムの実施
  3. 3. 重要な薬剤やワクチンを生産するための機敏な(agile)製造能力

これらの課題に対し、同地域の国々は以下のような行動を起こしている。

  • 供給が過剰な国からワクチンを入手するための柔軟な貿易機構やワクチン外交の利用
  • 公衆衛生インフラが不十分な国々に対する、ワクチンを確実に最終地点まで届ける(last-mile delivery)体制の支援
  • 受託開発製造機関を通じた機敏な製造能力の強化、新薬承認を加速・標準化するための政策基盤の調和

同報告書では、COVID-19は、適応、循環しながら発生を繰り返す「風土病(endemic)」になりつつあり、アジア太平洋地域の国々がこれに対応できるレジリエンスを確保するための3つの基盤として、以下を挙げている。

  1. 1. ワクチンの公平な配分に向けて、ワクチンへの公平なアクセスを確保する「COVID-19ワクチン・グローバルアクセス・ファシリティ」(COVAX)を補うようなアジア太平洋地域独自のワクチン調達・配分方法
  2. 2. 特に途上国における国家・地方レベルの連携を含む、ワクチンロールアウトの改善に向けた地域連携
  3. 3. 政策立案機関や規制機関による地域の製造業の支援

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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