新型コロナウイルスの排除速度にNK細胞が関与 台湾・中央研究院が発見

台湾の中央研究院(Academia Sinica)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した細胞を排除する速度にナチュラルキラー(NK)細胞が関与していることを発見した。2021年11月15日付で発表した。

ウイルスをより迅速に排除した患者の体内には、特定のNK細胞が多く存在したという。この研究成果は医学誌Journal of Clinical Investigationに掲載された。

先行研究では、SARS-CoV-2への感染を制御する上でウイルスに特異的な中和抗体とT細胞の応答が重要であることがわかっていたが、このウイルスと戦う他の免疫細胞の働きについては解明されていなかった。

同院のシーユー・チェン(Shih-Yu Chen)博士が率いる研究チームは、「マスサイトメトリー(mass cytometry)」という最先端技術を用いて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の血液を分析し、免疫細胞とウイルス排除速度(viral clearance rate)の相関を調べた。その結果、NK細胞の特定の亜集団が決め手になっていることが判明した。

チェン教授は、「SARS-CoV-2感染に対する免疫応答の全体像を理解するには、抗体やT細胞だけでなくNK細胞にも注目する必要があるとわかった」としたうえで、「抗体やT細胞がウイルスタンパク質を認識するのに対し、NK細胞は主にウイルスに感染した宿主細胞のストレス反応を認識してこれに応答する。NK細胞はウイルスの排除速度だけでなく、感染症の重症度にも関与している可能性がある」と語った。

チームは現在、NK細胞を介した抗ウイルス応答を強化する方法とともに、NK細胞の働きをワクチン接種や他の感染症、がん等の臨床分野に応用する方法を研究している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部