台湾科技大学(National Taiwan University of Science and Technology)の研究チームが、膜技術を利用して数滴の水から電力を生み出せるモバイルバッテリーを開発した。タイペイ・タイムズ(Taipei Times)が2021年10月17日に報じた。
同大学で化学工学を研究するイェ・リーシェン(Yeh Li-hsien)教授は、循環系と木の年輪をヒントにこの技術を開発したと語る。 水滴が蒸発する際に、このデバイスの膜が毛細管現象(capillary action)を利用して水分子とイオンを移動させる仕組みだという。
このデバイスは数滴の水から0.8ボルトの電気を4時間発生させることができる。これは計算機やLEDライト等の消費電力が小さい電子機器の充電に十分な電力である。汗や尿からでも発電できるため、非常用照明器具等のバックアップ電源として利用できる可能性がある。
このデバイスは折り曲げることができ、繰り返し使用できる。また、即座に発電可能で、環境に優しく、効率性に優れ、長時間出力できるといったメリットがある。さらに低価格で簡単に生産できるとイェ教授は述べている。
同大学の学生で研究チームの1人であるイェ・シャオフー(Yeh Shao-hu)氏は、このモバイルバッテリーをウェアラブルデバイスに搭載できるかもしれないと期待を込めた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部