脳波とAIモデルを用いて認知症の前段階を診断するシステムを開発 台湾MOST

台湾の科技部(MOST)は12月8日、同部が支援する学際研究チームが、アルツハイマー病(AD)による認知症とその前段階である軽度認知障害(MCI)を迅速にスクリーニングできる、世界初の脳波記録(EEG)に基づくコンピューター支援診断システムを開発したと発表した。2021年12月8日付。

MCIへの早期介入を促進してアルツハイマー型認知症に進行するリスクを軽減する手段になると期待される。この研究に関連する論文は複数の学術誌(International Journal of Fuzzy Systems、Frontiers in Computational Neuroscience、Actuators)に発表された。

台湾科技大学(NTUST)のイーフン・リウ(Yi-Hung Liu)博士らは、2017年よりEEGを用いたADとMCIの診断を研究してきた。今回リウ博士の研究チームが開発したこのシステムは、センサー、EEG増幅器、ソフトウェア(AIモデル)の3つの要素で構成される。利便性(電極数が7個未満)、安全性(非侵襲)、効率性(わずか2分間のEEG信号で解析が可能)、精度(検出精度90%)に優れているため、日常診療におけるMCIとADのスクリーニング検査として、機能的MRI等の神経画像検査手法よりも適していると考えられる。また、このようなEEGを用いた診断機器として初めて、米国食品医薬品局(FDA)の市販前認可510(k)と、台湾の食品医薬品局(TFDA)による市販への承認を受けている。

リウ博士はスタートアップ企業「ヒッポスクリーン・ニューロテック・コープ(Hipposcreen Neurotech Corp)」を通じて認知症とMCIのEEGデータバンクの作成に取り組んでいる。今後はこのデータバンクを用いて精度を向上させたAIモデルを含む、MCIスクリーニングのためのスマートEEGの統合ソリューションを構築する予定だという。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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