mRNA技術の研究でカタリン氏ら3研究者に、ベトナム「ビンフューチャー大賞」授与

ベトナムのビンフューチャー大賞(VinFuture Grand Prize)は2022年1月20日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の効果的なワクチンへの道を開いたメッセンジャーRNA(mRNA)技術に関する研究に対して、カリコー・カタリン博士(Katalin Kariko=ハンガリーと米国の両方の国籍保有)、ドリュー・ワイスマン教授(Drew Weissman=米国)、ピーテル・カリス教授(Pieter Cullis=カナダ)の3氏に授与された。

ビンフューチャー大賞を受賞した(左から)ワイスマン、カタリン、カリスの3氏 (写真提供:VinFuture Prize)

彼らの研究では、mRNAを改変して脂質ナノ粒子に封入することで、体内に侵入した外来mRNAに対する免疫系の反応を防ぎ、サイトカイン誘導、毒性、オフターゲット効果を回避することに成功した。カタリン博士とワイスマン教授の発見と、カリス教授による脂質ナノ粒子の開発に基づいて、ファイザーやモデルナなどの製薬会社は、有効なCOVID-19ワクチンを記録的な速さで製造できた。

ビンフューチャー大賞は2020年12月20日にベトナムの地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ (Vingroup)が創設。国籍や性別、年齢を問わず、科学研究と技術イノベーションを促進して世界中の人々の生活向上を目的とする研究者らに贈られる国際科学技術賞である。3氏には合計300万ドル(約3億4000万円)が贈られる。毎年の賞金総額は1045億ベトナムドン(約4億7300万円)に上る。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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