バングラデシュとフィリピンで遺伝子組換えナスの導入を支援 米コーネル大学

米国科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービス「Eurekalert!」は1月13日、米コーネル大学(Cornell University)が、バングラデシュとフィリピンで、ナスの遺伝子組換え品種(Btナス)の導入支援を通じて食料安全保障や農家の健康、持続可能性を向上させるためのプロジェクトを主導すると発表した。

この「Feed the Future Insect-Resistant Eggplant Partnership」プロジェクトは、世界の飢餓と食料安全保障に関する米国政府のイニシアチブ「Feed the Future」の一環として、米国国際開発庁(USAID)から5年間で1,000万米ドルの出資を受ける。科学・政策上の課題に対応する多面的プロジェクトとして、科学者による品種開発を支援するとともに、政策立案者と連携して新品種の発表に関する規制上の手続きを明確化することを目指す。

バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis: Bt)という土壌細菌の遺伝子を組み込んだBtナスは、バングラデシュのナスに最も深刻な被害を出しているナスノメイガ(eggplant fruit and shoot borer: EFSB) という害虫を、殺虫剤を用いずに制御できることが安全性試験により示されている。またこれまでの研究で、バングラデシュでBtナスの栽培に切り替えた農家では収量と純収入が大幅に増加し、殺虫剤の費用や殺虫剤中毒を軽減できたことがわかっている。一方で、バイオテクノロジー開発と導入に関してはいまだに議論が続いている。

プロジェクトを率いるマリセリス・アセベド(Maricelis Acevedo)研究教授は、「害虫や病原体は、世界の食料安全保障と食料システムの環境的持続可能性にとって脅威となっている。科学者と現地の規制機関は、環境と人間にとってより安全な食用作物の生産に向けて連携して取り組む必要がある」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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