ウェアラブル進化...潜在的症状を早期発見するpHセンサー、体調管理できるベビー服 シンガポール・豪

ウェアラブル機器のテクノロジーが進歩し続ける中、利用者はこれまで以上に健康モニタリングを細かく管理できるようになる。

AsianScientist - この2年間で世界のサプライチェーン(供給網)はかつてないダメージを受け、スーパーマーケットから工場の現場まですべてに影響を及ぼした。医療業界はパンデミック前からすでにプレッシャーを受けており、2017年には世界中で平均すると、1人の医師が約667人の患者を診ていたが、特に大きな打撃を受けた。

世界では今後10年間に1,500万人の医療従事者、特に看護師、疫学専門家、環境衛生専門家が不足すると予想されている。

しかし、ウェアラブル機器の形で患者が医療を利用できるとしたらどうだろう。新しいテクノロジーが自己管理と非侵襲的モニタリングを可能にしたことから、医療ウェアラブル機器は待ち時間を短縮し、コストの上昇に対抗し、医療分野の人員にかかる負担を全体的に軽減できる。

健康モニタリングの習慣の変化を感知する

時計やメガネからセンサー付きのスマートセーターまで、ほぼすべての衣料品やアクセサリーが、ウェアラブル機器が起こす健康モニタリング革命に加わる可能性がある。

以前はどっしりして邪魔になるものであったが、近年は材料科学とナノテクノロジーが進歩したことにより、ウェアラブルセンサーはこれまでになく小さくなり、安価になり、消費電力も少なくなった。

医療情報や有用な健康データを求めて病院に行く代わりに、消費者は自宅や外出先でも簡単かつ非侵襲的に自身の健康に関する数値を見ることができるようになった。

医療機関や政府など主な組織もウェアラブル機器を採用し、人々が権限を持つ消費者中心の予防モデルへの移行を促し、医療システムへの圧迫を軽減しようとしている。

体を見つめ続ける

ウェアラブル機器は、ユーザーが体調の変化をうまく管理できるようにするだけでなく、パーソナライズされた推奨事項も教えてくれる。

たとえば、心血管代謝疾患(cardiometabolic disease)の場合、インスリン抵抗性(insulin resistance)といった比較的軽度の症例が、時間の経過とともに心血管疾患(cardiovascular disease)や2型糖尿病(Type 2 diabetes)など重篤な状態に進行することがある。ウェアラブル機器で非侵襲的な探知を続ければ、懸念が医療緊急事態となりえる前に、ユーザーに異常を警告することができる。

シンガポールのある高等教育機関は、潜在的な症状を早期に発見するために、低コストで低電力のpH(ペーハー)センサーを開発した。このセンサーは他の測定を妨げることなくあらゆるウェアラブル機器に取り付けることができる。

人間の汗にはナトリウム、塩化物、pH、ブドウ糖など多くのバイオマーカーが含まれており、その多くは潜在的な病気の検出に利用できる。センサーは汗からこれらのバイオマーカーを分子レベルで検出することができ、その精度は90%を超える。このテクノロジーは肌にフィットするように設計されており、柔軟性と耐久性があり、消費電力は低い。

一方、このユニークなウェアラブル機器は深部体温測定値を検出して精神的・肉体的パフォーマンスを向上させることができるので、活発に動き回る人や運動選手は、その恩恵を受けるかもしれない。

周辺温度とは異なり、深部体温の場合、上昇すると精神的・肉体的パフォーマンスが大幅に低下する可能性がある。通常、人の体温は皮膚温度センサーを使用して測定されるが、周囲の暖かさや衣服の層などの変化により影響を受けたり、錯覚したりする可能性がある。

このpHセンサーはわずか2ミリ x 2ミリの小型集積回路である。熱流センサーと基準皮膚温度センサーを組み合わせることで、深部体温を正確に測定し、スポーツパフォーマンスをモニタリングし、睡眠その他の健康問題に対応する。

しかし、ウェアラブル機器は、健康状態をモニタリングしたり、最高のパフォーマンスを達成したりしようとしている人だけのものではない。実際のところ、ウェアラブル技術は赤ちゃん用にも拡大している。オーストラリアのイノベーターたちは、肌の変化を通して赤ちゃんの健康状態を追跡するセンサーを備えた綿のつなぎ服を開発した。

使いやすく、赤ちゃんに快適なつなぎ服は、新しく親になったユーザーの日常生活の一部となるように作られた。親は赤ちゃんの空腹感、呼吸、体温、睡眠をモニタリングでき、成長の目標と食事の予定について注意することができる。これらはすべて、電気消費の少ないブルートゥースを使い携帯電話に伝達される。 さらに、このアプリは、ストレスレベルの管理と赤ちゃんの発達の移り変わりについて新しく親になった人たちにアドバイスを与える。

ウェアラブルテクノロジーの拡大につれ、運動選手から赤ちゃん、高齢者に至るまで、センサーは貴重な情報を提供し、ユーザーは自分自身と大切な人の健康をうまく管理できるようになる。人々は、これらのデバイスがヘルスケアに革命を起こそうとしていることを知っている。

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