インド太平洋地域とのデジタル貿易協定の重要性強調 米専門家、中国とは制限を提唱

新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security)でインド太平洋の安全保障プログラムを担当する デービッド・フェイス(David Feith)氏は1月19日、米国下院外交委員会(House Foreign Affairs Committee)のアジア・太平洋・中央アジア・不拡散(Asia, the Pacific, Central Asia, and Nonproliferation)小委員会が開催した公聴会 で証言し、インド太平洋におけるデジタル貿易協定締結の重要性を述べた。

フェイス氏は以下の3点を強調した。

  • 1. インド太平洋におけるデジタル貿易に関する協定を結ぶことは、米国の経済・戦略上の利益となる。
  • 2. 米国は協定を締結するだけでなく、デジタル貿易への全体的なアプローチを改善すべきである。まずは米国から中国への大量かつ規制されていない機密データの移転を制限する必要がある。
  • 3. 米国の外交としては、デジタル貿易を友好国との間で拡大し、中国との間で制限することを目指した同盟国との協力を模索すべきである。

デジタル貿易のより良いルールを策定する方法として、フェイス氏は、日米デジタル貿易協定(U.S.-Japan Digital Trade Agreement)(2019年)等の過去の協定に立脚することを挙げている。また、シンガポール、ニュージーランド、チリによるデジタル経済連携協定(Digital Economic Partnership Agreement)や、シンガポールとオーストラリアのデジタル経済協定(Singapore-Australia Digital Economy Agreement)(2020年)への参加を検討することも考えられるとした。

また、米国の過去の協定から見えてくる望ましい協定の輪郭として、締約国が互いのデジタルコンテンツに関税を課さないことや、市場アクセスの条件として(ソースコード等の)技術の移転を強制しないこと、越境データ移動をオープンにすること等の指針を挙げた。

フェイス氏は、インド太平洋地域の同盟国やパートナーがこれらのルールを遵守すれば、地域経済の発展につながり、米国の利益にもなると述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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