磁力用いてトンネル内の車両位置を推定する技術開発 台湾陽明交通大学

台湾の陽明交通大学(NYCU)は2月21日、2021年に開催されたモバイルコンピューティング分野の国際会議「ACM International Conference on Mobile Computing and Networking(MobiCom)」で、同大学のジーチェン・チェン(Jyh-cheng Chen)教授が率いる研究チームによる、磁力を用いてトンネル内で車両の位置を推定する技術に関する論文が発表されたことを報告した。

1995年にMobiComが設立されて以来、全著者が台湾人の原著論文(full-length paper)が発表されたのは今回で2回目となる。同チームは、2020年開催のMobiComの学生研究コンペティション(Student Research Competition)(大学院部門)でも1位を獲得している。

(提供:NYCU)

位置推定(positioning)は自動運転車に欠かせない技術であるが、衛星測位システムはトンネルや立体交差(multi-level)道路等で正確な位置を特定できない場合がある。チェン教授のチームは独自開発のアルゴリズムを用いて磁力計で測定した磁場と磁場マップを比較するシステムを車両に搭載した。結果、この手法は、衛星測位を用いることなく5.14メートルの測位精度を達成した。

チームは2カ国の56のトンネルと23の橋における36カ月間の大規模な路上実験を通じて正確な位置推定を表すデータを収集し、システムの有効性を確認している。さらにこのシステムはスマートフォンのみを用いて利用でき、高価な測位機器を必要としないため、衛星測位システムを利用できない際にも低コストで正確な車両位置を推定できる。この研究は、磁力を用いて衛星での測位が困難な場所での車両位置推定に成功した初めての研究である。

チームは、今回の研究の成果を通じて、自動運転車があらゆる環境で位置推定機能を利用できるようになり、乗客が安心して乗れるようになることを願っているという。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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