インド太平洋政策で約束を果たすが、東南アジアとの関係構築には課題 バイデン政権について米研究所が評価

米ブルッキングス研究所のライアン・ハース(Ryan Hass)上級研究員は2月2日、バイデン政権はインド太平洋地域を優先するという約束を概ね果たしているものの、東南アジアとの連携は遅れているとする評価を報告した。

米国は日米豪印4カ国(Quad)による首脳会議の実現や豪英米3国間の安全保障枠組み(AUKUS)の創立、米日韓の防衛局長級電話会議等を通じて、同盟国およびパートナーとの連携を固めている。

しかし同時に、東南アジアとの関係構築は、2021年10月の米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議が4年ぶりであったことからも、「遅いスタートを切った」とハース氏は指摘する。同年12月に開催した民主主義サミットにアジアの多くの国を招かなかったことは失敗であり、また、インド太平洋戦略や統合的な中国戦略を明言していないことも、同地域を優先するという宣言と矛盾するとの見方を示した。

バイデン政権は2021年の最重要事項であった「国内再生」に関し、国内経済の強化や雇用創出、インフラ投資で成果を示したと評価した。特に台湾積体電路製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company: TSMC)の工場を建設する等、世界の大手企業を誘致して国内の製造施設を増強していることを挙げた。

ハース氏はバイデン政権の2022年のアジア政策に関して、新型コロナ対策やコロナ後の経済復興の支援を通じてインド太平洋地域でリーダーシップを示すことが賢明であると述べている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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