マイクロ流体チップで統合的な単細胞プロテオミクス解析ツールを開発 台湾・中央研究院

台湾の中央研究院(Academia Sinica)は2月23日、同院の研究チームが、マイクロ流体チップを用いて、単細胞プロテオミクス(single-cell proteomics: SCP)のプロファイリングを合理化できる統合的な解析プラットフォームを開発したと発表した。この研究の成果は学術誌 Nature Communications のWebサイトで公開されている。

個々の細胞に含まれるタンパク質を解析する SCPはプレシジョン・メディシンの実現技術として期待されているが、ゲノミクスやトランスクリプトミクスと比較して、ツールの開発は遅れている。シュンリン・トゥ(Hsiung-Lin Tu)博士とユージュ・チェン(Yu-Ju Chen)博士が率いる研究チームは、SCPの感度と分析深度を向上することを目的に、試料調製の一連の手順を「オールインワン」で処理できるマイクロ流体チップと、データ非依存的取得(data-independent acquisition: DIA)質量分析を組み合わせた合理的なワークフローを開発した。

この手法で哺乳類細胞のプロファイリングを行ったところ、1個の細胞から平均で約1,500個のタンパク質を同定することに成功した。

チームは現在次世代チップを開発しており、この手法を用いて、単一の細胞による生理や病理の制御に関わる分子機構を解明したいと考えている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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