ソーラーシステムから肺がんの研究まで...アジアの卓越した8人の女性科学者に注目

AsianScientist-今年の「科学における女性と女児の国際デー」にちなみ、アジアの卓越した8人の科学者に注目したい。

利用しやすいヘルスケアから持続可能な農業まで、科学の画期的進歩は、多様で公平な研究チームからもたらされたときに、有用性が高まる。今年の第7回「科学における女性と女児の国際デー」(2月11)で、国連は世界最大の課題に取り組むために、変化の主役となる女性と女児の役割に注目するであろう。

アジアのSTEM分野では、すでに次世代の人材は流出気味であるが、家庭に対する責任の増加、疎外、資金不足などの障害があるため穴が塞がることはない。その中で、科学とその成果をより公平なものにするために、女性研究者が今まで果たしてきた役割を認識することは重要である。

この機会を記念して、Asian Scientist Magazine 誌は、アジアの8人の女性研究者を紹介する。彼女たちはそれぞれの分野でガラスの天井を壊している。

ホー・ギム・ウェイ (Ho Ghim Wei) 准教授

ホー・ギム・ウェイ准教授(本人提供)

シンガポール国立大学(NUS)のホー・ギム・ウェイ (Ho Ghim Wei) 准教授は、さまざまな分野を統合し、シンガポールが再生可能エネルギー目標を達成させることのできる持続可能なソーラーシステムを設計する。

ロレアル-ユネスコ女性科学賞国家フェローシップの受賞者であり、アセアン米国女性科学賞の最終候補であるホー准教授は、現在、機能性ナノ材料を使用して再生可能エネルギーを作り出している。

ヴァリサ・ポンラカナノン (Varisa Pongrakhananon) 准教授

ヴァリサ・ポンラカナノン准教授(本人提供)

ヴァリサ・ポンラカナノン (Varisa Pongrakhananon) 准教授の研究は、肺がん転移の根本的なメカニズムを理解することを目的としている。それは分子の世界の謎を解き明かす探偵のような仕事である。ポンラカナノン准教授の研究は腫瘍の成長につながるプロセスに焦点を当て、疾病の効果的な診断と治療に貢献している。

微小管の研究で2018年のロレアル-ユネスコ女性科学賞国家フェローシップを受賞して以来、彼女の現在の研究は、転移のシグナル伝達経路およびタイのランから開発された潜在的な治療法の探求に向かっている。

シャリファ・ラフィダ・ワン・アルウィ (Sharifah Rafidah Wan Alwi) 教授

シャリファ・ラフィダ・ワン・アルウィ教授(本人提供)(本人提供)

モスク(イスラム寺院)の節水支援からグリーン燃料の開発まで、シャリファ・ラフィダ・ワン・アルウィ (Sharifah Rafidah Wan Alwi) 教授は、明日をさらに持続可能なものにする研究を行っている。

シャリファ教授はプロセス工学の経験を活かし、マレーシア工科大学のプロセスシステム工学センターで広範囲に産業問題を解決している。彼女は無駄と資源の使用を減らしてさまざまな産業プロセスを最適化し、利益を最大化する。

ロー・ファンケン (Loh Huanqian) 助教授

ロー・ファンケン助教授(本人提供)

シンガポール国立大学(NUS)のロー・ファンケン (Loh Huanqian) 助教授は、量子物理学の理解を深めるために複雑な現象をモデル化する構成要素として単一原子を使用している。ロー助教授と彼女のチームは、スケーラブルな量子コンピューターの構築に役立つモデルの開発に成功した。

ロー助教授は2019年、世界経済フォーラムによって、世界で最も優秀な若手科学者の1人に選ばれた。

エリカ・レガラ (Erika Legara) 教授

エリカ・レガラ教授(本人提供)

エリカ・レガラ (Erika Legara) 教授は、データサイエンスのオタクであり、 複雑なシステムに魅了されている。シンガポール科学技術研究庁 (A * STAR) に勤務するレガラ教授と彼女のチームは2016年、過密状態その他の豊富な通勤行動データを利用して、シンガポールにおける将来の戦略的な交通計画や都市設計の一助となった。

現在、レガラ教授はアジア経営大学院でフィリピン初のデータサイエンス大学院プログラムのアボイティス議長を務めている。将来のデータサイエンティストを育成しつつ、複雑系科学の研究を続けている。

シャム・マイ・ハー (Sham Mai Har) 博士

シャム・マイ・ハー博士(本人提供)

シャム・マイ・ハー (Sham Mai Har) 博士は多くの才能を持つ女性であり、あらゆることを行う。現在、香港中文大学 (CUHK) の副学長のほか、研究公正世界会議のメンバーも務めており、高等教育におけるジェンダー多様性の力強い擁護者でもある。

シャム博士は指導的立場にある一方で、発生生物学者としての情熱も持ち続けており、単一細胞の中で起こる分子現象を理解しようと努力している。

マオイ・アロヨ (Maoi Arroyo) 氏

マオイ・アロヨ氏(本人提供)

マオイ・アロヨ (Maoi Arroyo) 氏はフィリピンで最初のバイオテクノロジーコンサルティング会社であるHybridigmの創設者である。マオイ・アロヨ氏は研究室を出て起業家となり、科学者につきもののイメージを変えた。

インパクト投資ファンドの立ち上げから研究者向け研修までを行い、アロヨ氏はその業績により、2020年世界経済フォーラムでただ一人のフィリピン代表という地位を得た。

胡海嵐 (Hu Hailan) 教授

胡海嵐 教授(写真提供:ロレアル)

中国の浙江大学の胡海嵐 (Hu Hailan) 教授はメンタルヘルス治療の発展の基礎を築き、メンタルヘルス障害の背後にある神経生物学の研究について2022年国際女性科学賞を受賞した。

胡教授の研究は、特に外側手綱核と呼ばれる脳の領域を詳しく調べるものである。抑うつ効果を制御する細胞成分をマッピングし、症状を緩和するケタミンの効果について研究している。

(2022年04月21日公開)

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