片頭痛への治療反応、脳波に基づき予測 台湾科技部

台湾の科技部(MOST)は3月22日、同部の「台湾脳技術開発・国際育成プログラム(Taiwan Brain Technology Development and International Raising Program)の支援を受けた陽明交通大学(National Yang Ming Chiao Tung University)と台北栄民総医院(Taipei Veterans General Hospital)の共同研究チームが、片頭痛のプレシジョン・メディシンに関する一連の臨床研究を完了したと報告した。この研究の成果は2021年10月13日、国際疼痛学会(IASP)が発行する学術誌 Pain により受理された。

片頭痛は予防治療によって重症度と頻度を抑えられると考えられているが、患者の約40%は治療への反応が乏しく、どのような患者が良好な効果を得られるかを予測することは困難であった。

同研究チームは片頭痛患者の頭痛プロファイル、社会心理学的情報、脳波(electroencephalogram:EEG)等の大量の臨床データを収集し、片頭痛患者の治療への反応をEEGで予測可能かどうかを探索した。この結果、視覚野でα波の異常な増強が認められなかった慢性片頭痛患者は、治療後に有意な改善(頭痛頻度の50%超の減少)を示す割合が約8倍高かった。すなわち、予防治療の前にEEGを評価することにより、治療に反応する患者を予測できる可能性がある。

この予測モデルは医師による正確かつ個別化された片頭痛治療の処方に役立つと期待されており、将来的には、無線の帽子型EEG測定装置を用いた外来での迅速な評価も実現できる可能性がある。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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