東南アジアの国際開発で欧米とアジアの力関係の変化を研究 米スタンフォード大学

米スタンフォード大学ショレンスタインアジア太平洋研究センター(APARC)は3月31日、東南アジアの国際開発活動における欧米諸国とアジア諸国の力関係の変化やその影響について調査した、同センターの博士研究員メアリー・コリアー・ウィルクス(Mary-Collier Wilks)氏のエスノグラフィー研究を紹介した。

このプロジェクトでウィルクス氏は、国際開発プログラムが援助提供者(ドナー)から国際非政府組織(INGO)、最終的な実施パートナーへと到達するまでの「支援の鎖(aid chains)」の多様性について調べた。事例として、カンボジアで女性向け医療サービスを提供する、日本と米国のINGOを介した2つの支援の鎖を取り上げている。

同氏は「これまでは米国や欧州、オーストラリアのドナーや国際組織が主な行為主体(アクター)として『良い開発』に関する世界規範を作ってきた。しかし、東南アジア諸国が影響力を巡って競い、開発の新たなモデルを提示するようになっている 」と指摘する。

INGOを通じた支援の提供にとって大きな課題の1つは「協調(synchronization)」であると同氏は語る。 「強い国家を支持するプロジェクトと市場や非営利アクターを支援するプロジェクトを協調させることで、より効果的な援助を提供することが可能になると考えている」

ウィルクス氏は2022年夏にAPARCでの任期を終え、ノースカロライナ大学ウィルミントン校(University of North Carolina Wilmington)で社会学部のテニュアトラック教員としてキャリアをスタートさせる。APARCでは指導教授の筒井清輝教授が開催した日本研究のセッションに参加する等、教授陣や他の研究員から多くの知見を得たと話している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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