干ばつストレス下でも植物の成長を維持する遺伝子改変手法開発 台湾・中央研究院

台湾の中央研究院(Academia Sinica)のポール・ベルスルース(Paul Verslues)博士の研究室が、植物が干ばつ条件下でも成長速度を維持できるようにする遺伝子改変手法に関する研究を開発した。2月28日付発表。この研究成果をまとめた論文は学術誌 Plant Cell に掲載されている。

植物は干ばつストレスを受けると細胞の産生を抑制する。これは効果的な節水戦略である一方で、バイオマスや収量の減少につながる。

干ばつストレス下での分裂組織(meristem)の細胞分裂や、それに続く細胞増殖の抑制に関わるシグナル伝達の機構はこれまで詳しく解明されていなかった。

ベルスルース研究室では以前の研究により、Clade E Growth-Regulating(EGR)2タンパク質脱リン酸化酵素とその下流のシグナル伝達標的であるMicrotubule Associated Stress Protein 1(MASP1)が干ばつストレス下での成長を調節していることを発見していた。

今回の研究では、このEGRとMASP1が、根分裂組織内で相反する発現の勾配(gradients of expression)を示し、ストレス下での根分裂組織の活性に相反する影響を与えていることを明らかにした。研究の結果、細胞分裂と細胞増殖の移行領域(transition zone)におけるEGRの活性やEGRによるMASP1のリン酸化の減弱によって干ばつストレス下での根分裂組織の大きさと活性が決定されることや、EGRがストレス応答における主要な要素であることが示唆された。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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