植物のウイルス病に関わる新たな翻訳開始点を発見 台湾・中央研究院

台湾の中央研究院(Academia Sinica)のミンジュン・リウ(Ming- Jung Liu)博士が率いる研究チームが、植物ウイルスmRNAによるタンパク質合成の翻訳開始点(translation initiation site)を調査し、病徴発現において重要な新たなウイルス因子をコードする新しい開始点を複数発見した。2月9日付発表。この研究の成果は学術誌 Plant Cell に掲載された。

植物ウイルスは、宿主植物の翻訳機構を乗っ取ってウイルス病の発病に関わるタンパク質合成を生じさせる。高密度のゲノムを持つこれらの植物ウイルスはコード能力の増大に多様な翻訳戦略を用いるため、ウイルスの遺伝子セット全体を決定することは困難であった。

リウ博士らは、トマト黄化葉巻タイ・ウイルス(tomato yellow leaf curl Thailand virus)(TYLCTHV、属:Begomovirus)をモデルシステムとして用い、生体内の翻訳開始点をプロファイリングすることで、注釈づけ(annotated)された遺伝子セット以上の遺伝子を同定した。

この研究の成果は、植物ウイルスのゲノムによるコード能力がこれまで過小評価されてきたことを示唆しており、他の植物ウイルスの調査や、新たなウイルス対策の構築に役立つと期待されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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