台湾の中央研究院(Academia Sinica)のジーウェン・シュ(Jr-Wen Shui)博士が率いる研究チームは、大腸菌への感染時にインターロイキン22(interleukin-22:IL-22)が開始する、インターロイキン18(IL-18)を媒介とする新たな上皮応答回路を明らかにした。2月21日付。この研究の成果は学術誌 Nature Communications に掲載された。
腸内病原菌に対する宿主防御機能の低下は、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)へのかかりやすさと関連している。
組織保護機能を持つサイトカインIL-22は、IBDと臨床的関連を持つことがわかっており、腸管上皮のバリア形成に重要な役割を果たすことから、IBD治療への活用が期待されている。IL-18はIL-22に誘導される上皮由来のサイトカインであり、腸管の感染症や炎症に対する宿主防御に寄与することが知られているが、IL-18がバリア機能に関与する仕組みは明らかにされていなかった。
研究チームは動物疾患モデルを用いて、IL-18がIL-22と共に腸管上皮のバリア機能で主要な役割を果たすことを明らかにした。
この研究の成果は、IL-22とIL-18を抗炎症標的として用いた新たな治療法につながる可能性がある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部