高圧研究から超巨大磁気抵抗の機構を解明 台湾

台湾大学(NTU)の研究チームが、高圧研究を用いて超巨大磁気抵抗(colossal magnetoresistance)の機構を解明した。3月11日付発表。この研究の成果は2021年に学術誌 Nature Communications に報告された。

磁場を加えることで物質の抵抗が変化する磁気抵抗(magnetoresistance:MR)現象は、ハードディスクドライブの磁気ヘッド等、さまざまなコンピューターや消費者用電子機器で利用されている。

超巨大磁気抵抗は1990年代に亜マンガン酸塩ペロブスカイト(manganite perovskite)で確認された。盛んな研究の結果、特定のドープ(添加)領域で最適なMR反応が得られることがわかったが、この現象は低い温度でしか発生せず、相分離がみられるため原子レベルでの理解は困難になっていた。

NTUの助研究員ウェイティン・チェン(Wei-Tin Chen)博士らは、英ウォーリック大学の研究者と共に、従来と異なる方法を用いてこの難題に挑んだ。チェン博士のチームは数ギガパスカルの圧力を用いて準安定性(metastable)材料を合成する技術等の高圧研究を専門とする。

チームは高圧合成した四重ペロブスカイトをモデルフレームワークとして機能特性を調べた。この新たな物質状態では、特定のドープ領域において、規則的な絶縁状態と不規則な導電状態が縞状に配置することが明らかになった。この結果は、外部磁場が絶縁状態の崩壊を誘導する機構を示し、MR効果の動作温度と感度の改善に光明をもたらしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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