デニソワ人が東南アジアに住んでいた...歯の化石をラオスで発見 ラオス・欧州・米・豪の共同研究チーム

ラオス、欧州、米国、豪州の共同研究チームが、ラオス北部の洞窟で見つかった歯の化石が古代人類「デニソワ人」のものであるという見解を発表した。Eurekalert!が5月17日に伝えた。この研究成果をまとめた論文はオープンアクセスジャーナル Nature Communications に発表された。

デニソワ人は、シベリア・アルタイ山脈のデニソワ洞窟で発見された化石によって最初に存在が確認された。

共同研究チームは2018年、ラオスの「タム・グ・ハオ2(Tam Ngu Hao 2)」と名付けられた洞窟でこの歯を発見した。この洞窟は、7万年前の人類(ホモ・サピエンス)の化石が見つかったことで知られるタム・パ・リン(Tam Pà Ling)洞窟の近くに位置する。

歯の形の詳細な解析により、チベット高原で発見されたデニソワ人の歯との間に多数の類似点が見つかった。これに基づき、この歯の持ち主は16万4,000~13万1,000年前にラオス北部に住んでいたデニソワ人であると推定された。

論文の筆頭著者であるデンマーク・コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)のファブリス・デメター(Fabrice Demeter)助教授はこの化石について「東南アジアで初めて発見されたデニソワ人のものであり、デニソワ人が少なくともラオスまで南に分布していたことを示している。これは、現代の東南アジアの人々にみられる遺伝学的証拠と一致している」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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