天の川銀河中心のブラックホールを初めて撮影 国際プロジェクト「イベントホライズンテレスコープ」

台湾の科技部(MOST)は5月12日、国際共同研究プロジェクト「イベントホライズンテレスコープ(EHT)」が、世界各地の電波望遠鏡で構成される観測網を用いて天の川銀河の中心にある超大質量(supermassive)ブラックホールを初めて撮影したと発表した。この研究成果は同日付で学術誌 Astrophysical Journal Letters の特別号に報告された。

研究者らは以前より、周囲の星の運動等に基づき、「いて座A*」と名付けられたこの天体をブラックホールであると考えていた。今回公開された画像は、これを証明する初めての直接的な証拠となる。

ブラックホール自体を見ることはできないが、周囲のガスにより形成される、中心の暗い領域(「シャドウ」)を光り輝く輪(リング)が取り囲む構造がその存在を示している。

「リングの大きさがアインシュタインの一般相対性理論による予測と非常によく一致していることに驚いた」

EHTのプロジェクトサイエンティストを務める中央研究院(Academia Sinica)のジェフリー・バウワー(Geoffrey Bower)氏はこのように語る。そのうえで、「この前例のない観測結果により、私たちの住む銀河の中心で起こっていることへの理解が大きく深まり、巨大ブラックホールと周囲との相互作用に関する新たな知見が得られた」という。

EHTは、世界8カ所の電波観測所を連携させて「地球サイズの」仮想的な望遠鏡を作る観測技術により、今回の成果を達成した。台湾の科技部と中央研究院はSMA、アルマ、JCMTという3基の望遠鏡の構築と運営を支援している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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