台湾の科技部(MOST)は5月11日、同機関が出資するプロジェクト「参加型文学研究:医療人文学における学際研究(Engaged Literary Studies: Interdisciplinary Research in Medical Humanities)」が、学術論文や書籍の出版、学術イベントの開催を通じて、特に若手の文学研究者による医療人文学への参加を促すことに成功していることを明らかにした。
同プロジェクトは台湾の陽明交通大学の文学研究者イン・ワン(Yin Wang)准教授の主導により、2018年に開始された。これまで、台湾や米国、英国から障害学やナラティブメディスン(物語に基づく医療)等幅広い分野の研究者を招き、3回の国際共同ワークショップを開催している。
また、同プロジェクトではこれまで20を超える講義を催している。2021年に開始された中国医科大学(China Medical University)のシンジュ・クオ(Shin-Ju Kuo)准教授が主催する一連の講義には、医師、公衆衛生専門家、アーティストらが参加した。2022年には、環境主義や動物学、思弁的創造力(speculative imagination)等の観点から医療人文学にアプローチし、この分野の新たな課題を取り入れようと試みている。2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により講義がオンラインで行われたことで、かえって研究の範囲が広がり、より多くの人々の参加が可能になった。
医療教育に人文主義的視点を取り入れることを意図して始まった医療人文学は、現在、先進的な学際研究分野として発展している。このプロジェクトは、文学研究が科学と社会に貢献できることを示し、文化、文学、医療に関する学問を結び付けることに貢献している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部