色素体の分裂に関連...TIC236の機能獲得変異を発見 台湾・中央研究院

台湾の中央研究院(Academia Sinica)は、植物の色素体の分裂とタンパク質輸送との関連の解明につながる、「TIC236」というタンパク質の機能獲得変異を明らかにした。5月11日付け発表。研究成果は学術誌 Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of AmericaPNAS :全米科学アカデミー紀要)に掲載された。

TIC236はタンパク質の輸送を介する複合体トランスロコン(translocon)の構成要素であり、葉緑体の外包膜と内包膜のトランスロコンを橋渡しする。

今回の研究では、「CRUMPLED LEAF(CRL)」という葉緑体外包膜タンパク質がTIC236の働きを助けることを明らかにした。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において、CRLが存在しないと、色素体の分裂に異常が生じ、自己免疫応答が誘導される。順遺伝学的スクリーニングによる探索の結果、CRLに誘導される表現型を消失させる複数の優性機能獲得変異(tic236-gf)が見つかった。

色素体の分裂は植物の発育にとって非常に重要であるが、TIC236を含む色素体分裂装置(plastid division machinery)の構成要素がどのようにして色素体に輸送されるのかは探索されていなかった。このデータは、色素体へのタンパク質の輸送、色素体の分裂、植物のストレス応答の関連に新たな光を投げかけている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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