米国の新アメリカ安全保障センター(CNAS)は6月2日、フェルディナンド・マルコス(Ferdinand Marcos Jr)次期大統領の就任を機とした米国とフィリピン間の同盟関係の再活性化(Revitalizing)に関する報告書を発表した。テクノロジーに関しては以下のような協力を提案している。
米国政府は信頼された安全な技術やデジタルインフラにのみ投資することの重要性について、フィリピン当局者の認識を高める必要がある。またオープンなデジタルエコシステムを構築することの利点についても意思決定者を説得できる余地が残されている。中国がフィリピンの送電網の40%に出資していることを考慮し、防衛協力強化協定(Enhanced Defense Cooperation Agreement:EDCA)下で運営される基地等への独立した電力設備の設置も検討する必要がある。
これを促す機会の1つは、デジタル標準の合意に向けた取り組みにある。フィリピンは米国が支持するデジタル標準に同意しており、こうした合意を通じて、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)部門での両国間の協力をさらに強化できる。
米国はフィリピンへの支援の大きな割合を、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの継続供給を含む公衆衛生上の支援に割り振るべきである。これは従来の安全保障領域を超える同盟関係に対して米国が置いている価値を示すことになる。
米国は、フィリピンがエネルギー輸入を多様化し、国内の化石燃料鉱床の開発への必要性を軽減できるよう、LNG輸入施設の開発を支援すべきである。米国企業は、フィリピンのLNG設備の開発、および排他的経済水域でのガス資源開発権の主張を支援できる立場にある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部