上流オープンリーディングフレームが遺伝子発現のノイズを除去 台湾・中央研究院

台湾の中央研究院(Academia Sinica)は6月9日、遺伝子の上流オープンリーディングフレーム(upstream open reading frame:uORF)が遺伝子発現におけるばらつき (ノイズ)を除去し得ることを発見したと発表した。この研究の成果は5月に学術誌 Nature Plants に発表された。

遺伝子発現でみられる突発的な(burst)転写は、適切に制御されない場合、非生産的あるいは有害な結果をもたらすことがある。真核生物のメッセンジャーRNA(mRNA)の30%~50%の「5'リーダー配列」に広く存在するuORFは、下流のコーディング配列の翻訳効率を抑制することがあるが、この翻訳効率の低下と遺伝子発現のノイズの関係は解明されていなかった。

シューシン・ウー(Shu-Hsing Wu)氏とチャオピン・シュー(Chao-Ping Hsu)氏の研究室が共同で行った今回の研究では、uORFが、おそらくタンパク質の生産速度を低下させることで、少量だが正確な翻訳を達成することを示した 。さらに、シロイヌナズナ(Arabidopsis)において、このuORFのノイズ除去機能が概日(がいじつ)時計の頑健性を維持するうえで重要な役割を果たしていることも判明した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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