菜箸と泡で油の温度を判断する際の物理現象を解明 国際研究チーム

国際共同研究チームが、濡れた箸(はし)が高温の油に触れる際に生じる複雑な物理現象を解明した。Eurekalert!が6月16日に伝えた。この研究の成果は、学術誌 Physics of Fluids に発表された。この結果は、大気汚染を安価に測定するための音響センシング技術等、さまざまな科学分野に応用できる可能性がある。

アジアでは揚げ物をする際に菜箸を油につけ、出てくる泡と泡がはじける音によって油の温度を判断する方法がある。「この方法は広く用いられているが、学術的文献を検索しても、科学的な説明を見つけられなかった」と、カナダのウォータールー大学(University of Waterloo)のヂャオ・パン(Zhao Pan)教授は語る。

今回の研究では、濡れた紙、湿らせた箸、水滴を高温の油に入れ、高感度のマイクと高速度カメラを用いて記録する実験を行った。その結果、異なる3種類の空洞(cavity)の形成から成る、予想よりはるかに複雑な物理現象が生じていることが分かった。

パン教授はまた、「目と耳によるこのシンプルな測定は誤差約5~10%の範囲で正確。揚げ物をする際の通常の温度が150℃以上であることを考えると悪くない」と述べ、この実験により、箸を用いて温度を判断する方法がかなり有効であることが示されたと語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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