米国のシンクタンク、ハドソン研究所は7月21日、インドのタクシャシラ研究所(Takshashila Institution)と2021年11月~12月に行った「パンデミック後のインド経済の再開(Restarting the Post-Pandemic Indian Economy)」と題したラウンドテーブルシリーズの成果をまとめた報告書を発表した。
これらの会議にはインドと米国の専門家、政策立案者、学者が参加し、急速に変化する世界秩序における二国間の協力の機会について議論した。報告書は貿易、投資、技術、人的資本の移動という4つのテーマ別に政策立案者への推奨事項を提示している。そのうち「技術協力」に関する主な推奨事項は以下の通り。
- インドと米国は、「デジタル上の漢字文化圏(digital Sinosphere)」に対抗する攻撃・防御手段の構築を試みる必要がある。インドはソフトウェア大国としての強みを生かし、米国はインドの大規模プラットフォームの開発を支援することで利益を得られる。
- 宇宙・防衛技術の利用や開発に関する協調方法を認識することは、両国にとって利益となる。インドはロシアに大きく依存している軍用機器の調達先を、米国の支援により多様化できる可能性がある。
- 「サイバーNATO(North Atlantic Treaty Organization:北大西洋条約機構)」のような機構は、両国のデータ戦略の調和に役立つ可能性がある。
- データ引き渡し(data extradition)に関する法律があれば、インドのサイバーセキュリティが侵害された際に米国の安全保障当局が調査や対処を行うことができる。
- 地域データの規制アプローチにより、技術貿易(tech commerce)の成長を促進できる可能性がある。
- 日米豪印戦略対話(Quadrilateral Security Dialogue:Quad)で、半導体サプライチェーン強靭化のための基金を設立すべきである。
- 特許法に関する両国間の信頼の欠如は、生命科学技術部門にも波及している。遺伝子編集、mRNA、バイオセンサー等の技術を利用する両国の組織間に信頼関係を構築する必要がある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部