新たな抗がん剤へ特異性の高いゴルジα-マンノシダーゼII阻害剤を発見―天然物をヒント 台湾・中央研究院

台湾の中央研究院(Academia Sinica)のゲノム研究センター(Genomic Research Center)の研究チームが、新たな抗がん剤となりうる、特異性の高いゴルジα-マンノシダーゼII(α-hGMII)阻害剤を発見した。7月21日付け発表。

この研究の成果は英国王立化学会(The Royal Society of Chemistry)が発行する学術誌 Chemical Science に掲載され、査読者が推薦する2022年の注目論文(HOT Articles)の1つに選ばれた。

アルカロイドの一種であるスワインソニンは、ヒトのゴルジα-マンノシダーゼIIの阻害剤であり、N-結合型グリコシル化を調製してがんの増殖を制御できるが、副作用のため臨床開発は中断されている。

研究チームは天然物(natural product)から着想を得て、ピロリジンベースのアルカロイドAN9と二環性アルカロイド(bicyclic alkaloid)のスワインソニンの構造を組み合わせ、候補となる骨格を生成するためのハイブリッド骨格を設計した。さらに「天然物から着想を得たコンビナトリアル化学(Natural product-inspired combinatorial chemistry)」という技術を用いて、インドリジジンベースの分子ライブラリを迅速に作成した。

チームはこのライブラリを用いたスクリーニングにより、α-hGMIIの有効かつ選択的な阻害剤であるACK900という化合物を発見した。この化合物は、動物を用いた研究によって、有望な抗がん剤候補であることが示された。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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