台湾大学(NTU)は、同大学の研究者らが、大豆に含まれる「ゲニステイン」という成分に、マリファナの使用による心血管系への悪影響を防ぐ効果があることを明らかにしたと発表した。7月14日付け。この研究成果は学術誌Cellに掲載され、多くの医療系Webサイトで報じられている。
マリファナの使用は冠動脈疾患のリスク増加と関連することが疫学的研究により示されている。また、「ハイ」な感覚を生じさせるマリファナの主要な成分、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(delta-9-tetrahydrocannabinol:THC)を含む医薬品を投与された患者には、心拍や血圧の変化等の心血管系副作用が生じる場合がある。
NTUと同大学の附属病院(NTU Hospital)、中央研究院(Academia Sinica)、米スタンフォード大学(Stanford University)の研究者から成る共同研究チームは、ゲニステインに、THCが循環器の血管内壁に対して引き起こす損傷を防ぐ働きがあることを発見した。ゲニステインは内皮細胞へのTHCのアクセスを遮断して悪影響を抑えるが、医療用マリファナの使用者にとって重要な、食欲の刺激や痛み・吐き気を抑える効果を阻害することはないという。
この発見は、マリファナが引き起こす損傷の機構の解明や、ゲニステインを用いた心血管系副作用の予防法の開発につながる知見を提供している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部