裸子植物のミトコンドリアRNA編集の進化過程を解明 台湾・中央研究院

台湾の中央研究院(Academia Sinica)は、同院の研究者が、生きた裸子植物のミトコンドリアのRNA編集に関する体系的かつ包括的な研究を初めて行ったと発表した。8月12日付け。同院生物多様性研究センター(Biodiversity Research Center)のシューミャウ・チャウ(Shu-Miaw Chaw)博士とチュンシェン・ウー(Chung-Shien Wu)博士によるこの研究の成果は、学術誌 The Plant Journal の2022年8月号に掲載された。

RNA編集はRNA分子を変化させ、ゲノムの鋳型(template)と異なる遺伝子情報を持たせる転写後の過程である。植物においては陸上の種にのみ生じ、ミトコンドリアの新生と機能にとって重要な修復システムと考えられている。

これまで次世代シーケンシング(NGS)データに基づく裸子植物のミトコンドリアRNA編集部位の探索は少数の分類群についてしか行われておらず、裸子植物のミトコンドリアRNA編集の進化とパターンをより深く理解するための系統的な研究と広範な分類群のサンプリングが必要とされていた。

両博士は、10の主要な分類群のミトコンドリアゲノム、色素体ゲノム、RNA編集部位、ペンタトリコペプチドリピート(pentatricopeptide repeat:PPR)の特徴付けを行い、ミトコンドリアRNA編集部位が回復(regain)されていることを示し、基礎となる編集機構を明らかにした。この研究の成果は、裸子植物におけるRNA編集部位の進化過程を明らかにしただけでなく、RNA編集部位の広がり(prevalence)とPPRタンパク質の多様性の関連を浮き彫りにしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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