ファンデルワールス磁石を利用―遷移金属ダイカルコゲナイドのバレー自由度の制御方法開発 台湾

台湾の国家科学技術委員会(NSTC)の支援を受けた台湾の清華大学(National Tsing Hua University)の共同研究チームが、遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)のバレー自由度を電気的に制御するための実現可能な方法を開発した。この研究の成果は5月に学術誌 Nature Nanotechnology に発表された。

TMDは量子情報の符号化や処理に利用できる可能性があるバレー自由度を持つことから、情報処理分野の有望な新材料として注目されている。TMDのバレー自由度を電気的に制御するため、先行研究では強磁性コンタクト(ferromagnetic contact)を用いる手法が試みられてきたが、大きな外部磁界や複雑なエピタキシャル成長工程を必要とするため、実用化には制限があった。

今回の研究では、ファンデルワールス(vdW)磁石を用いてTMDのバレーに依存する分極(polarization)を電気的に制御する方法を初めて実証した。チームは単層TMD(WSe2)とFe3GeTe2の強磁性トンネルコンタクトを組み合わせた新たなvdWヘテロ構造を開発し、この磁性コンタクトがスピン偏極をWSe2の特定のバレーに注入し、バレーに依存する偏極を生じさせることを実証した。

この研究成果は、バレートロニクスの開発における課題に対処するとともに、新たな二次元磁石を磁気・光電子工学分野に応用できる可能性を示している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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