3次元ゲノム構造の観察でがんの転移を予測する方法発見 台湾

台湾大学(NTU)は、同大学のルビー・ファン(Ruby Huang)教授が率いる研究チームが、がん転移に関与する上皮間葉転換(epithelial-mesenchymal transition:EMT)の過程で生じる、がん細胞ゲノムの3次元レベルの構造変化の証拠を発見したことを明らかにした。8月30日付け。研究成果は学術誌 Genome Biology に発表された。

特定の遺伝子の発現に基づいてがんの転移を予測する試みはこれまで多数の研究で行われてきたが、あらゆるがん種にわたって適用できる手法は提示されていなかった。

同チームはシンガポール国立大学(NUS)の研究者の協力を得て、クロマチン構造の高次元キャプチャ(high-dimensional capture of chromatin conformation:Hi-C)を用いて、がん細胞が「EMTのスペクトラム」を構成するさまざまな状態(「純粋な上皮」細胞、「純粋な間葉系」細胞、「上皮・間葉系のハイブリッド」細胞等)をとる仕組みを解明した。

ファン教授はこの手法により、がん細胞の多様性(heterogeneity)を観察しただけでなく、2番染色体と10番染色体の三次元構造変化を検出することで転移を予測できることを発見した。これらの成果は、がんの転移や進行の予測に向けた新たな可能性を示している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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