米国のシンクタンク、カーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)は、インドと韓国による、欧米とは異なる独自の民主主義制度に基づくデータガバナンス政策を分析した報告書を発表した。8月31日付け。
デジタル権威主義(digital authoritarianism)への懸念が深まるなか、多くの観測筋は、民主主義と専制主義の激しい対立がテクノロジーとデータのガバナンスを形成することは確実であるとみている。この予測は、市場メカニズムに頼るオープンなアプローチをとる民主主義国家と、国家の役割に特権を与え、国家が公共・民間のあらゆるデータを利用できるようにする専制主義との対立構造を念頭に置いている。
しかしこのような二元的な枠組みは、民主主義国家が発展させているアプローチの多様性を考慮していない。
この報告書は、民主主義国を含む第三の国々がデータポリシー、テクノロジー企業のビジネスモデル、規制枠組みに関する議論に影響を与えていることを明確にしている。特にアジアの2つの主要な民主主義国家であるインドと韓国から生まれたモデルに焦点を当て、世界が単なる米中対立よりも複雑な様相を呈するであろうことを示している。
データレジリエンス、データローカライゼーション・プライバシー、オンラインでの認証・データアクセス制御等に関する韓国のデータ政策を分析した2021年の研究に引き続き、今回の報告書は、「オープンなデータ」と「越境データのガバナンス」という2つの領域において、韓国とインドの経験を分析した。同報告書は、両国とも民主主義が定着しており、欧米の経験を単に模倣するのではなく、それぞれの民主主義の制度的枠組みや政治文化に由来する要件を取り入れて独自のアプローチを切り開いているとした。
著者らは、この2国の経験から、手本となる要素を含む多くの学びが得られると述べている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部