ブラックホールを取り囲む「超軽量ボソン」の存在確認へー新たな方法を提示 台湾

台湾大学(NTU)物理学部の客員教授を務める宇宙学者ダニエル・バウマン(Daniel Baumann)氏が、重力波を用いて、ブラックホールを取り囲む非常に質量の小さいボース粒子(ボソン)を検出する方法を提示した。同大学とバウマン教授のアムステルダム大学(University of Amsterdam)のチーム、ハーバード大学(Harvard University)の共同研究の成果であり、研究論文とシノプシスは6月2日付けで学術誌 Physical Review Letters に掲載された。

バウマン教授らは、存在が仮定されている超軽量のボソンが実際に存在し、回転するブラックホールの周りに雲を形成している場合、これらの「ボソン雲」は連星ブラックホール間のインスパイラル(binary inspiral) と、関連する重力波信号に影響を及ぼしている可能性があることを示した。

ブラックホールは周囲のあらゆる物質やエネルギーを消費すると考えられている。しかし超軽量のボソンが存在するとしたら、ブラックホールは「超放射(superradiance)」過程を通じてこのようなボソンを生み出して周囲に大きなボソン雲を形成し、本物の原子と非常によく似た構造を持つ「重力的原子(gravitational atom)」を生成している可能性がある。

ボソン雲の特徴は、回転する連星ブラックホールから放出される重力波に現れるため、今後、次世代の重力波干渉計(interferometer)を用いた観測により、この超軽量ボソンの存在を示す証拠が得られる可能性がある。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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