道路の凹凸をAIで調整して走行、電子制御式サスペンションシステムを開発 台湾

台湾の国家科学技術委員会(NSTC)が支援する学際研究チームが、車が道路上の凹凸や欠陥の上を走行する際の乗り心地と安定性を改善するインテリジェントな電子制御式サスペンションシステム(intelligent electronic suspension system:IES)を開発した。10月5日発表。

台湾・逢甲大学(FCU)、台北科技大学(National Taipei University of Technology)、中原大学(Chung Yuan University)と、奇美車電(Chimei Motor Electronics)ほか4社の自動車関連企業の研究者からなる自動運転研究チームによる共同研究の成果となる。関連する研究をまとめた論文は学術誌 IET Control Theory & Applications、Applied Sciences、Electronics、Expert Systems with Applications に掲載された。

現在、一部の高級車に搭載されているアクティブサスペンションシステムは空気バネや調整機能を持つダンパーを用いて乗り心地を改善するが、さまざまな道路上の欠陥に応じて自己適応的(self-adaptive)な調整を行う機能は備えていない。FCUのユーチェン・リン(Yu-Chen Lin)准教授が率いる研究チームが開発したこのIESは、人工知能(AI)の認識(perception)に基づいて車の前方にある穴やマンホールの蓋、水たまり等を即座に検出し、道路状況に応じてアクティブサスペンションシステムを動的に調整する。さらにこの技術は車載組み込みシステムとも統合されている。

このAI技術と組み込みシステムは奇美車電社との連携を通じて自動車サプライチェーンに導入され、日産自動車等の商用車に実際に搭載されている。今後は先進運転支援システム(ADAS)等の自動運転技術開発企業との連携も計画しているという。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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