台湾の工業技術研究院(ITRI)は、人工知能(AI)を用いて糖尿病網膜症(DR)および糖尿病黄斑浮腫(DME)を検出する画期的なスクリーニングシステム「Point-of-Care AI-DR」を公表した。11月10日付け。このシステムは、技術的に意義のある新製品を表彰する米R&Dワールド(R&D World)の「R&D 100 Awards」(2022年)を受賞している。
Point-of-Care AI-DR は、DR の 5 つの重症度レベルを分類し、患者を眼科医に
紹介する必要があるかどうかを判断できる、初のAI ベースのソリューション
(提供:ITRI)
病院や診療所で用いられている手持ち式の眼底カメラとこのソフトウェアを統合することで、わずか5~10秒でDRやDMEを診断することが可能になる。さらにAIによる誤解釈を防ぐため、診断前に画質を即座に評価する機能も搭載されている。このシステムは眼科医以外の医師による迅速な診断を可能にすることで、眼合併症による失明や視力低下のリスクを減らすことに役立つと考えられている。
ITRIは堅牢なAIモデルを構築するため、眼科医が収集・分類した15万点の眼底画像を訓練データとして用いた。同院のパンアン・ティン(Pang-An Ting)博士は、このシステムは「眼科医の専門知識とAIの解析を通じた人間とAIのコラボレーション」であると説明する。
ITRIはライセンス契約を通じてこのシステムを提供している。台湾のパソコンメーカーエイサー(Acer)の「VeriSee DR」は、ライセンス供与を受けて販売されている製品の1つである。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部