脊髄運動ニューロンの1細胞レベルの細胞地図を提示 台湾

台湾の中央研究院(Academia Sinica)は1月5日、同院の研究チームが、シングルセルRNAシーケンシング(single-cell RNA sequencing)を用いて、マウス胚における脊髄の運動ニューロン(motor neuron:MN)の多様性を解明したと発表した。研究成果は学術誌 Nature Communications に掲載された。

脊髄のMNは、これまでも細胞体の位置や神経支配のパターンに基づき分類されていたが、個別の筋肉群を神経支配するより細かなサブタイプは明らかにされていなかった。

同院のジュンアン・チェン(Jun-An Chen)博士が率いる研究チームは、マウス胚の脊髄のMN 1万個の配列を1細胞レベルで解析した。チームは既知のMNのタイプ内の新たなサブタイプを発見し、その遺伝子マーカーを報告した。また、異なる種間のサブタイプの多様性を比較した。

この研究により提供された脊髄MNの1細胞レベルの細胞地図(cell atlas)は、神経科学研究における貴重な資源となり、脊髄性筋萎縮症や筋萎縮性側索硬化症といった神経変性疾患に対するMNの脆弱性(vulnerability)に関する謎を解明することにもつながると期待される。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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