印米両政府が重要技術・新興技術の協力強化に向け議論

インドと米国の両政府は1月31日、「重要技術・新興技術に関するインド・米国イニシアティブ(initiative on Critical and Emerging Technology:iCET)」の第1回会合をワシントンD.C.で開催した。両国の国家安全保障担当補佐官が主催し、科学技術、航空宇宙、防衛等の分野を担当する政府高官らが参加した。

iCETは2022年5月、インドのモディ首相と米国のバイデン大統領の間で「政府・企業・学術機関間の戦略的技術パートナーシップおよび防衛産業における協力の強化・拡大」を目的に発足した。

今回議論された重要な協力分野の1つが、「両国のイノベーションエコシステムの強化」であった。両国は人工知能(AI)、量子技術、先進無線技術等の分野における協力拡大を目的とした米国立科学財団(NSF)とインドの科学機関との研究機関パートナーシップの実施取り決め(implementation arrangement)に調印した。また、量子分野の協力を強化するための共同調整メカニズム(coordination mechanism)を設立したほか、ハイパフォーマンス コンピューティング(HPC)における協力を推進するとした。

「強靭な半導体サプライチェーン」に関して、両国は「世界の半導体サプライチェーンを支える高技能人材の開発を促し、インドの成熟したテクノロジーノード・パッケージングにおける共同事業や技術パートナーシップを推進する」とした。また、米国半導体工業会(SIA)とインドエレクトロニクス・半導体協会(IESA)による共同作業部会を設立した。

さらに「宇宙」や「防衛イノベーションと技術協力」等の分野に関する二国間イニシアティブや協力強化も話し合われた。

The Diplomatにこの記事を投稿したインドのシンクタンク、オブザーバーリサーチ財団(Observer Research Foundation)のラジェスワリ・ピライ・ラジャゴパラン(Rajeswari Pillai Rajagopalan)氏は「防衛や重要・新興技術におけるより深い協力を実現することへの両者の深い関心により、インドと米国の戦略的関係は強固なものになりそうだ」と話している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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