線虫を用いて小食とオートファジー、老化に関する分子機構を解明 台湾

台湾の陽明交通大学(NYCU)は1月10日、同大学の研究チームが、線虫(nematode)を用いて、食事量と老化速度の関係に関する分子的機構を解明したと発表した。この発見は、抗老化薬の標的を決定するための明確な道筋を示した。研究成果は学術誌 Autophagy に掲載された。

複数の動物モデルにおいて、食事制限やカロリー制限が細胞のオートファジー(自食作用)を促進して老化を遅らせることが証明されている。

最近の研究で、線虫の1日の食餌量を少し減らしたところ、平均2週間の寿命が3~4週間まで延びた。研究チームは、食事制限が、「SAMS-1」と「SET-2」という2つの重要なプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)を通じて染色体のヒストンのメチル化を変化させ、オートファジーに関与する2つの転写因子「TFEB」と「FOXA」の活動を調整し、結果として線虫の肝臓と腸のオートファジーを増加させることを観察した。

研究を率いたNYCUのアオリン・シュ(Ao-Lin Hsu)教授は、食事において老化に影響する重要なタンパク質を発見したこれらの知見は、抗老化薬の適切な標的の決定に役立ち、食事制限に頼らずに老化を遅らせる方法を開発することにつながる可能性があると語った。

(提供:いずれもNYCU)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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