台湾の中央研究院(Academia Sinica)の研究者らは、病原体の拡散を防ぐうえで、腸上皮のガレクチン-4(galectin-4)というタンパク質が果たしている役割を明らかにした。2月4日付け発表。研究成果は2023年1月に全米科学アカデミー紀要( Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America:PNAS )に掲載された。
腸上皮は宿主組織への細菌の侵入を防ぐ最初のバリアとして機能する。ガレクチンはグリカン結合タンパク質(Glycan-Binding Protein: GBP)であるレクチンの一種であり、主に細胞内に存在する点でほかのGBPと異なる。ガレクチン-4は、腸上皮に特異的に発現することが知られている。
同院生物医学研究所(Institute of Biomedical Sciences)のフートン・リウ(Fu-Tong Liu)博士が率いる研究チームは、細胞質基質(cytosolic)のガレクチン-4が細菌の娘細胞を鎖でつないで(enchain)細胞内での運動を制限し、腸上皮細胞におけるインフラマソーム(inflammasome)の活性化を増強することを報告した。
この研究は、細胞質基質のレクチンが細胞内でのグリカンとの相互作用を通じて、生きた細菌に対する宿主反応を調節できることを示している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部