オスのマウスの実験、腸内細菌が男性ホルモンを調節 台湾・中央研究院

台湾の中央研究院(Academia Sinica)の研究員インルー・チャン(Yin-Ru Chiang)氏と台湾大学病院のメイジョウ・チェン(Mei-Jou Chen)教授が率いる共同研究チームが、オスのマウスを用いた研究により、腸内細菌を用いてアンドロゲン(男性ホルモン)の量を調節できる可能性があることを発見した。3月7日付け公表。研究成果は学術誌 Gut Microbes に掲載された。

体内を循環するアンドロゲンが異常に増加することは、男性の前立腺肥大症や前立腺がんの原因になると考えられている。また、性ステロイドの代謝には腸内細菌が関与していることが、最近の動物を用いた研究により示唆されている。しかし、その基礎となる機構や細菌の分類群は明らかにされていなかった。

ベータプロテオバクテリア綱に属するThauera sp.の菌株GDN1は、アンドロゲンを異化する(androgen-catabolic)珍しい細菌である。今回、研究チームは、オスのC57BL/6マウスにGDN1株を強制経口投与してその効果を調べた。チームは投与されたGDN1株がマウスの血清アンドロゲン値を調節することを発見し、おそらくGDN1株が腸肝循環を通じたアンドロゲンの再循環を阻害するためであることを示した。

このデータは、アンドロゲンを異化する腸内細菌を、高アンドロゲン症の代替療法におけるプロバイオティクスとして利用できる可能性を提示した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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