スーパーカミオカンデのデータでダークマター直接探索の強力な手掛かりを発見 台湾・中央研究院

台湾の中央研究院(Academia Sinica)は3月17日、同院物理研究所(Institute of Physics)の研究者らが、宇宙のダークマター(DM)の直接探索において、超新星爆発の残光(afterglow)として現れる相互作用を実験的証拠(signature)に用いる画期的な方法を発見したと公表した。研究成果は3月14日付けで学術誌 Physical Review Letters に掲載された。

DMと原子核との弾性散乱に基づく従来のDM探索手法は、観測可能なエネルギーの小ささと、補完的情報の不足による制約を受けていた。

超新星爆発後に放出されるニュートリノ(SNν)によって加速されたDM(boosted DM: BDM)は、地球に到達すると、大型検出器で検出できる特徴的な観測可能量(observables)を生成する。このBDM事象の飛行時間(Time-of-Flight)分布はDMの明白な証拠となり、BDMを検出することで、DMの質量と相互作用断面積(interaction cross-sections)を大きく絞り込むことができる。

今回、研究者らは、東京大学宇宙線研究所が運用するスーパーカミオカンデ検出器の実験データを用いて超新星SN1987aに関する分析を行い、DMに関する現在の限界値(bounds)を数桁向上させる値を得た。さらに、銀河系中心部からのSNνにより生じたBDMの検出によって得られる感度の範囲を予測し、これまでのDM探索ではアクセスできなかった巨大なパラメーター空間(parameter space)を探索できる可能性を示した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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