線維芽細胞の抑制、抗がん剤の作用を強化 台湾で研究

台湾の中央研究院(Academia Sinica)、陽明交通大学(NYCU)、台湾大学病院、台湾大学(NTU)の研究チームが、線維芽細胞の活動の抑制が肺がんの治療にどのように役立つかを検証する3D細胞培養システムを開発し、線維芽細胞抑制剤を併用することで抗がん剤の効果を高めることができることを突き止めた。研究の結果は3月28日、AIPアメリカ物理学協会出版局(API Publishing)が刊行するAPL Bioengineeringにオンライン掲載された。

がん性腫瘍は、近くにある線維芽細胞を、自身の成長と浸潤の促進に利用すると考えられている。がん関連線維芽細胞の活性化と呼ばれるこの過程はまた、腫瘍を化学療法から保護する役割を果たし、治療を困難にする。

研究チームは、腫瘍の微小環境をシミュレートし、実際の細胞を模倣するために、肺がん細胞と線維芽細胞を3Dマトリックスで共培養した。この培養細胞を使った実験で、抗がん剤シスプラチンと線維芽細胞抑制剤ニンテダニブを併用すると、シスプラチンの抗腫瘍効果が増大することが分かった。

3D細胞培養システムは、腫瘍の成長と浸潤への他の薬剤の効能を評価するのに有用なツールになる。研究チームは、同じシステムを用いて、肝臓がんや口腔がんなどの他の種類のがんも研究することを計画している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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