台湾の中央研究院(Academia Sinica)は4月10日、同院のゲノム研究センター(Genome Research Center)のジーン・リュウ(Jean Lu)博士率いる研究チームが、「ポドカリキシン様タンパク質1(Podocalyxin-Like Protein 1:PODXL)」と呼ばれる膜タンパク質がコレステロールの生合成の制御に果たす役割の解明を通じ、異種間のキメラ作製効率の向上につながる知見を得たと発表した。この研究の成果は、学術誌Advance Scienceに掲載された。
研究チームはまず、PODXLがc-MYC、TERT、ITGA2を介してコレステロールの生合成経路を制御し、多能性幹細胞の機能を維持することを発見した。次に、実験モデルとして、栄養外胚葉様細胞に分化する能力を持つヒト胚性幹細胞(hEPSCs)を選び、8細胞期のマウス胚と凝集させた上でPODXLを過剰発現させたところ、通常は30%程度のヒト・マウスキメラの発生能が57%に上昇することが証明された。
これにより、PODXLの量の制御が、多能性幹細胞の占有の誘発・拡張において重要な役割を果たすことが確認された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部