台湾の中央研究院(Academia Sinica)は4月10日、同院の共同研究チームが膜タンパク質FtsB-FtsL-FtsQ(FtsBLQ)複合体の結晶構造を初めて明らかにしたと発表した。この研究成果は、4月5日付のNature Communicationsに掲載された。
細菌の細胞分裂に伴う細胞壁ペプチドグリカンの合成は、ディビソーム(divisome)と呼ばれる多タンパク質の複合体が媒介している。大腸菌では、FtsB、FtsL、FtsQからなる必須膜タンパク質複合体であるFtsBLQが、ディビソームの集合カスケード(assembly cascade)において重要な役割を果たすが、FtsBLQを介した制御のメカニズムはほとんど明らかにされていなかった。
今回、同院のゲノム研究センター(Genome Research Center)のチェ・アレックス・マー(Che Alex Ma)博士のラボと生物化学研究所(Institute of Biological Chemistry)のヨウリン・シー(Yu-Ling Shih)博士のラボの共同研究により、FtsBQLのヘテロ三量体複合体の結晶構造が明らかにされた。この結果に基づき、研究チームは、FtsBLQ複合体によるペプチドグリカン合成酵素の制御機構を明らかにする構造ベースモデルも提案している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部