蛍光顕微鏡のデータの信号対雑音比を著しく改善へ、新たな計算手法開発 台湾

台湾の中央研究院(Academia Sinica)は4月11日、分子生物学研究所(Institute of Molecular Biology)の研究チームが蛍光顕微鏡データの信号対雑音比(signal-to-noise ratio:SNR)を著しく改善する新しい計算手法を開発したと発表した。この研究の成果は、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)に掲載された。

SNRは、データから得られる情報量を制限する。蛍光顕微鏡のSNRは、標本から取得した光子数とデータ解析におけるこれらの光子数の利用効率によって決まる。従来の研究では、前者の向上に主に焦点が当てられ、後者はあまり研究されてこなかった。

今回、分子生物学研究所の神野圭太(Kamino Keita)博士の研究グループとイェール大学(Yale University)のティエリー・エモネ(Thierry Emonet)博士が率いる研究グループは、蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer:FRET)顕微鏡のデータから分子間相互作用を推定するのに、情報理論的に最適な方法を開発することによって、理論的に最高のSNRを達成した。今回の手法は、新しいハードウェアを必要とすることなく、FRET顕微鏡の範囲を拡大する。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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