RNAがDNA損傷の修復に寄与する仕組みを解明 台湾

台湾の中央研究院(Academia Sinica)は4月20日、同院の研究グループが、RNAがDNAの損傷の修復に果たす役割を明らかにしたことを発表した。この研究成果は、Nucleic Acids ResearchRNAに掲載された。

DNAは頻繁に損傷を受けるため、効果的な修復メカニズムを必要とする。DNAの修復においては、RNAが重要な役割を果たすことを示す証拠が増えつつある。同院生物医学研究所(Institute of Biomedical Sciences)のワンユー・タン(Woan-Yuh Tarn)博士の研究グループは、長鎖ノンコーディングRNAであるHOTAIRM1がDNAの損傷部位にmRNAサーベイランス因子を引き寄せ、それらの因子が、二本鎖切断によって誘発された転写産物を分解することを発見した。このようなRNAによる分解は、DNA修復のターンオーバーを容易にし、ひいてはDNA修復の効率性を高める。

さらに、タン博士のチームは、ノンコーディングRNAとRNA結合タンパク質Y14との間の共同相分離(co-phase separation)がDNA損傷の修復に寄与する可能性があることも発見した。この研究は、Y14とノンコーディングRNAの共凝集がゲノム安定性に不可欠であることを示唆している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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