アジア太平洋経済協力会議(APEC)は5月2日、ブルネイで行われた会合で、APECビジネス諮問委員会(ABAC)のメンバーが、APEC貿易担当大臣のほか、世界貿易機関(WTO)、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に対し、環境リスク、金融ストレス、生活費危機など地域が直面している課題を、強靭で包括的、かつ持続可能な地域経済への新しい道筋を築く機会とするよう促したことを発表した。
ABACの提言には、零細・中小企業(MSMEs)のグローバル化等の支援、デジタル経済、デジタル貿易実現のための支援についても盛り込まれた。
ABACの2023年度委員長であるドミニク・ン(Dominic Ng)氏は、「各地域の政府がパンデミックへの対応から学んだ教訓をもとに、すべての人にとって貿易をより強靭で包括的、かつ持続可能なものにすることを民間は望んでいます。そのためにABACは、政府に対して明確で具体的な提言を行います。この提言が実施されれば具体的な成果をもたらすでしょう」と語った。これらの提言の多くは、ブルネイで行われたABAC II会合で最終決定された書簡や声明に盛り込まれた。
WTOに関するABACの声明について、ドミニク氏は「私たちは効果的で、強制力のある世界貿易システムが実装されることを望んでおり、WTOに対して、農業、漁業補助金、紛争解決における中核的改革、デジタル貿易と環境に関する開かれた多国間交渉など、野心的な成果を求めています」と話した。
FTAAPに対しては、近代的な貿易ルールを設計し、短期的な目標としてアジア太平洋地域のコミュニティの公平性と持続性を支え、経済機会を拡大する具体的成果を構築することも求めており、その内容は書簡に記載された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部