台湾大学附属病院(NTUH)の研究チームが治療の難しいピロリ菌除菌のための効果的な2次・3次治療の開発に成功した。この研究成果は、The Lancet Gastroenterology and Hepatologyに掲載され、表紙記事に選ばれた。
胃がんの主な原因であるピロリ菌の撲滅に向け、NTUHはミンシェン・ウー(Ming-Shiang Wu)病院長の主導の下、国家科学技術委員会(NSTC)と衛生福利部の支援を受けて台湾の複数の医療機関とコンソーシアムを結成し、臨床試験とピロリ菌のスクリーニングを実施してきた。医療チームは近年、除菌率90%を超える1次治療を開発し、1次治療では効果がなかった治療の難しいピロリ菌感染症に対する2次・3次の救援治療の開発に取り組んでいる。
ウー教授率いる研究チームによる最新の研究によれば、同チームが開発した2種類の2次治療でそれぞれ93%と90%の除菌率を達成することに成功した。2次治療でピロリ菌を除去できなかった患者に対する3次治療では、97%と96%の除菌率を達成した。
さらに、研究チームはオーストラリアのニューサウスウェールズ大学(UNSW Sydney)と協力し、これらの治療を受けた患者の腸内微生物叢の構成や抗菌薬耐性遺伝子のプロファイルの長期モニタリングを実施したところ、どちらも1年後には治療前とほぼ同じ水準に回復することが判明した。
これらの研究結果は、ピロリ菌の2次・3次治療に重要な知見をもたらすとともに、胃がんの予防にピロリ菌除菌を用いる際の安全性の根拠ともなる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部