台湾大学は、生命科学科(Department of Life Sciences)のスーイー・ツァイ(Su-Yi Tsai)教授の研究チームが、ヒト多能性幹細胞から心筋細胞への分化過程におけるサルコメア関連タンパク質の時間的・空間的発現を明らかにする新しいシステムを確立し、サルコメア・アセンブリ(sarcomere assembly)の基礎となる分子メカニズムを解明したと発表した。7月27日付け。研究成果は、Stem Cell Reportsに掲載された。
研究チームはまた、分子シャペロンUNC45Bが様々なサルコメアのマーカータンパク質と高い共発現を示すことを発見し、UNC45Bが異なる場所でのサルコメアのアセンブリにおいて異なる役割を果たしているかどうかを調べた。その結果、UNC45Bを完全に欠損した心筋細胞は収縮しないことが判明した。機構研究を通じて研究チームは、UNC45BがKINDLIN2の発現を調節することによって、サルコメアの初期構造であるプロトコスタミアの形成を制御していることを突き止めた。
さらに研究チームは、UNC45Bが様々な時期と場所で、さまざまなサルコメア関連タンパク質と相互作用し、心臓サルコメアの形成を制御していることを確認した。
UNC45Bに変異を持つ患者は、新生児筋原線維性ミオパチー2型を発症し、出生直後に心不全を起こして死亡することがあり、この研究は、新生児筋原繊維性ミオパチー2型に新たな治療戦略をもたらす可能性がある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部